ディズニー泣ける映画『カールじいさんの空飛ぶ家』は泣ける映画?

2009年公開のディズニーのアニメ映画『カールじいさんの空飛ぶ家』(原題は「 Up」)。CGアニメ制作のピクサー・アニメーション・スタジオが手掛けた、ディズニー・デジタル3D作品である。本作品を、ディズニーの”泣ける映画“No.1として紹介したい。

題名のとおり主人公は、老人のカールじいさん。どんな”泣ける”を届けてくれるのかだろうか?

『カールおじさんの空飛ぶ家』 泣ける!夫婦愛の物語

妻を亡くした年齢78歳の老人のカールじいさん

妻エリーとの思い出の詰まった小さな家から離れられない。家に閉じこもり暮らしていた。

家の周囲は、住み始めた頃とすっかり変わって、開発地区になった。開発ラッシュの喧騒が毎日続いている。カールじいさんの住む区画だけが取り残されていた。

一人暮らしのカールじいさんは、今の社会でいう、いわゆる独居老人。伴侶に先立たれて一人となった偏屈者。

そんな老人を主人公にしたこのアニメは、ありふれた話のようにも思える

しかし、最初の10分間、無言劇で語られる、妻エリーとの生活。出会って結婚し、寄り添って生きる二人。夫婦の物語は、あたたかな夫婦愛に満ちていて、涙を誘う

カールじいさんは、昔、勇敢な冒険家チャールズ・マンツに憧れる少年だった。

少年時代のカールは、ある空き家で少女に出会う。その少女エリーが、カールと同じく冒険好き。

冒険家マンツへの憧れで意気投合した二人だった。

エリーが作ったエリー・バッジ。その素朴さが、切ない映画音楽で語られる夫婦愛の象徴として、映画ファンに人気のグッズになってる。

大人になって  二人は結婚する。

新居にしたのが、二人が出会ったこの家。二人はここで長年暮らして思い出を作ってきた。カールじいさんがこの家を離れられない理由だ。

幸せな結婚生活、冒険家マンツについて語り合った楽しい家。子供が欲しかったエリーが、涙したのもこの家

二人の憧れのマンツは、“伝説の滝のパラダイス・フォール”で消息を絶っていた。二人は、いつかそこに行こうと約束して、旅行費用のお金を貯めていく。

長い時が流れた。二人は幸せながら、怪我や修繕など度々の出費で、貯めたお金を使ってしまうのも、この家

なかなか旅行費用が貯まらないまま、やがて二人は年老いた。

カールはついに旅行のチケットを手に入れたのだが! 年老いたエリーは病に倒れ、帰らぬ人に。

生きていれば当たり前にある良いこと悪いこと。当たり前だからこそ共感を呼ぶのだろう。

エリーとの深い夫婦愛、これなくしては家と共に旅に出るこの話は語れない。

『カールおじさんの空飛ぶ家』カールじいさんが家を飛ばす理由が泣ける!

子どもを授からなかったこともあり、カールじいさんは一人、この家に残された。

エリーとの思い出が家を離れられない理由だ

この家にも、開発の手が伸びてきた。開発ラッシュの喧騒をいまいましく思うカールじいさん。カールじいさんは立ち退き要求を受け取る。

立ち退き要求を機に、カールじいさんは、家にたくさんの風船をつけて、旅に出る。エリーの思い出と一緒に旅に出る! 果たせなかった約束の、夢のパラダイス・フォールへの旅に。

エリーとの約束を果たす旅だ。

家の思い出から離れられないとしても、家ごと旅に出るという発想が面白過ぎる。

カールじいさんのキャラクターが頑固じいさん顔だから、そのこだわりに妙に納得なのだ。

ちなみにカールじいさんは、引退したが、仕事は風船売りだった。人生最後の旅に、仕事の風船で家を飛ばす、それはカールじいさんの人生を表しているようでもある

そして、家の運命も。

『カールおじさんの空飛ぶ家』年齢を超えた友情、少年ラッセルが老人のかたくなな心を溶かす物語が泣ける!

家は風船と帆で空を順調に進む。

カールじいさんは空の上で、騒がしい開発ラッシュの喧騒から逃れて満悦。

ところが、空の上で誰もいないはずのところにノックが聞こえてきた! 「開けてよ」と男の子の声だった。

男の子の名前はラッセル。空から降ろすこともできず、カールじいさんはラッセルと一緒に旅をすることになる。

とぼけた顔の、しかし純粋な心の男の子ラッセル

そして、人の言葉を話す犬のダグも登場し、笑いの絶えない旅が始まる。

冒頭のエリーのほのぼの物語と一変して、アドベンチャーコメディに変わる。

幾つもの困難にぶつかり、カールじいさんは、ラッセルの自由な心に触れるたびに頑固な心が解けていくのを感じる。ラッセルと年齢を超えた友情が育っていく。

エリーとの思い出だけにしがみついて過去に生きていたカールじいさんの心、その閉じこもっていた心を解放していくのだ。

旅の困難でカールじいさんが一番大切にしてきた「エリーとの思い出の家」も、ついに! しかし、もうカールじいさんは、一人嘆くことはしない。今を生きる楽しさを取り戻したからだ。

ラッセルとの旅でカールじいさんは思うのだ「エリー、君がラッセルをよこしたのか?」

『カールじいさんの空飛ぶ家』のキャッチコピー「愛する妻が死にました―だから私は旅に出ます」人生の真実が泣ける

「カールじいさんの空飛ぶ家」には、2009年公開の時に、ディズニーが発表したキャッチコピーがある。

「愛する妻が死にました―だから私は旅に出ます」

解りやすいキャッチコピーだ。ポスターの老人の顔のカールじいさんの絵と一緒にこのコピーである。老人が、妻の死で旅に出る、話としてはベタだ。

こんなコピーではベタな話と思いきや、カールじいさんはなんと家で空を飛ぶ。

風船をいっぱいつけて飛ぶ小さな可愛い家は、夢とロマンに満ちている。

主人公が、可愛い女の子でもない年老いた偏屈そうな老人。そして老人の心をたたく少年も、お世辞にもかっこいいとは言えない男の子。現実にもどこにでもいそうな登場人物で、この物語を繰り広げる。

少年との旅で老人は、無くしていた気力を取り戻す。老人再生。感動の物語だ。

高齢化社会の老人の問題を描いた映画も昨今は多い。カールおじさんのように孤独な老人の、寂しい心に焦点を当てた本作に、筆者は拍手を送りたい。

本作のテーマはなんだろう。

思い出だけにすがって生きることの寂しさ、過去にすがって生きる無意味さを、浮き彫りにした。そして、過去に決別して得られるものを描いている。

本作をやくださせられる老年期はほとんどの人に訪れるだろう。

しかし、老年にならずとも、20歳代でも何歳でも、思い出にとらわれ、過去にとらわれて生きている人もいると思う。

そんな人には、ぜひ本作を心に留めておいてほしい。そんな物語でもある。

「エリー、君がラッセルをよこしたのか?」カールじいさんのセリフのように、コメディの中に人生がある。

とはよく言ったもので、人生はドタバタ喜劇、その一コマ一コマに真実がある。そんなことを改めて思わせてくれる。

 

『カールじいさんと空飛ぶ家』は泣ける映画まとめ。夫婦愛と今を生きる大切さ、それを教えてくれたラッセルとの友情、年代を超えた友情

筆者は見ているうちに、思わず二人を応援してしまった。

カールじいさんとエリーの深い夫婦愛。当たり前の長い年月が美しい感動だ。

老人カールと少年ラッセルの歳を超えた友情。ラッセルが居たから、カールじいさんは今を生きる大切さに気付いた。

カールとエリーには子どもがいなかった。カールが旅の最後にラッセルに与えたのが、エリー・バッジだ。エリーが、サイダーの瓶の蓋で、カールの為に作ってくれた思い出深いものなのだ。

カールにとってエリー・バッジは、エリーと冒険家の同志としての象徴だった。

家と共にカールがしがみついてたエリーの思い出の象徴でもあった。カールじいさんは、家を無くしたが、これも手放したのだ。

エリー・バッジ授与式では、ラッセルの大好きな父親がいない。その最後の場面は気になる。次作かスピンオフが出るかもしれないと思わせる。

泣きたくなったらチョイスしてほしい、ディズニーの泣ける映画オススメNo.1である。

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